秋の夜長に「短歌」はいかが?

 

 こんにちは、むっちゃんです。前回の投稿から2ヶ月程が経ち、すっかり肌寒い季節になりました。毛布にくるまって眠るのが一等気持ちいい頃合いです。

 さて、秋と言えば読書の秋!ですが、日々の生活の中で本を読む時間をとるのは意外と大変。新書やハウツー本はともかく、小説を丸々一本読み切るには結構気力も必要です。

 そこで、今回は小説ではなく「現代短歌」!一日一首から楽しめる私オススメの歌集を紹介したいと思います。一応文学部出身なのでね!

 

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こちらは千種創一さんの『砂丘律』という歌集です。千種さんは東京外国語大学アラビア語を専攻したのち、現在は中東のレバノン在住という経歴の持ち主。この本には19歳から27歳までの間に詠まれた歌が収録されています。


煙草いりますか、先輩、まだカロリーメイト食って生きてるんすか

どら焼きに指を沈めた、その窪み、世界の新たな空間として

カフェラテの泡へばりつく内側が浜辺めいてもドトールここは


どうでしょう。何気ない一言、日常の一部を切り取った歌ですが、形容し難い寂しさや浮遊感を感じます。どら焼き食べるときにこんな神秘を連想することってあります?

 

エルサレムのどの食堂にもCoca-Cola並んで赤い闇、冷えてます

北へ国境を越えればシリアだが実感はなくジャム塗りたくる

君の村、壊滅らしいとiPhoneを渡して水煙草に炭を足す

映像が悪いおかげで虐殺の現場のそれが緋鯉に見える


頁が進むにつれて、中東で暮らす作者ならではの作品群が増えていきます。異国の地にも私たちと変わらぬ生活があり、されど戦火の絶えぬ生々しい残酷さと隣り合わせである。そんなことをリアルに感じさせてくれる歌です。

 

 

ついでにもう一冊おすすめ

 

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 穂村弘さんの『短歌ください』。この本は某文芸誌に投稿された短歌に、選者である歌人の穂村さんがコメントをつけたものが収録されています。一般の方が詠んだ歌をプロが丁寧に解説しているので現代短歌入門にも最適です。文庫になっているのでお手頃!


 さて、異色の記事となってしまいましたがいかがだったでしょうか?
忙しい日々でも気軽に楽しめる文学として、皆さんもお気に入りの歌集を探してみては…?


以上、むっちゃんでしたf:id:saikoh-diary:20120929155718g:plain